ソローヒルの庭新連載13

「ソローヒルの庭 12ヶ月52週」
     第13週  2013/5/20から
燕の飛翔  花立つタチアオイ

 千紫万紅、いよいよ梅雨の時節の花見時である。数株のアジサイが日に日に色づいてきた。亡母が植えていたアジサイは、他よりも一足早く、白藍(しらあい)から青紫の色鮮やかな笑顔を作っている。ギボウシの長い花茎の先端で花が揺れ、濃淡の紅色のシモツケが粉を吹いて咲き零れる。黄色のヒペリカムも開花した。

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ソローヒルの庭新連載 5

「ソローヒルの庭 12ヶ月52週」
第5週     2013/4/1から
桜花—穀物の精霊

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3月の異常な暖かさで、庭の4本のソメイヨシノが2週間も速く花盛りとなった。前年には、私は日本の伝統色で「灰桜」と呼ばれる色の和服を着て、桜の木の下で記念写真を撮ったっけ。
 うっすらと紅がかった白い花は、日光の反射で透き通っている。まさに春の宝石だ。満月が少し欠けただけの月の光は、夜の花を雪に見せる。しかし壊れやすい宝石や溶けていく雪のように、桜花の命は短い。数日間、その輝きを保っているがやがて、零れ桜となりそれから、深紅の桜蕊をあたり一面に降り敷く。花びらは微かな風にも吹雪いて、その潔さを見せつける。「あなたもこんな生き方をしてみなさい」と。 続きはこちらへ