ソローヒルから



©エドワード・レビンソン



All Photos copyright Edward Levinson!! 

庭のクリスマスツリー、モミの木が移植後順調に生育していてうれしい。ずいぶん枝が濃くなった。12月はおめかしのライトを少しだけ付けて祝ってあげる。
その下の13株のクリスマスローズは、4月に咲くはずが、白い花はもう蕾を付けている。名の通り、ほんとうにクリスマス頃に咲くのかしら。
12月に入るとすぐ周りの紅葉がきれいになった。いつもは12月末に黄色くなる
7本のイチョウもいまが最高。コならは赤茶、栗林は茶色、ウルシは赤、ひめしゃらは赤紫、そこに緑色の木々がグラデーションで混ざり、見事な配色。
甘夏が黄色に色づき始めた。オレンジ色になるのもそう先ではない。
道の無人スタンドには、もうこの辺の名産、スイセンが並べられている。私のはまだ30センチくらいだけれど、つぼみを付けているのもある。
温暖化を自分の庭で見ている。

先月の旅。何年かぶりのバルセロナは秋晴れでした。ガウディの設計した主要な建物は、未完ながら世界遺産になっていて、さすが、とうれしかった。たくさんの作品を見たが、代表的な場所だけを。
ガウディは敬虔なクリスチャンになり、ベジタリアンになり、74歳の時、市電にひかれて亡くなりました。その生き方は、非常に刺激的です。


グラダ・ファミリア
地下鉄を上がって外に出た途端、あの「誕生の正門」と四つの塔が悄然とたたずんでいるのが目に飛び込んできた。ああ、サグラダ・ファミリア! 受付で日本 から依頼しておいた「プレス」のタグをもらい、胸からかけた。エドは早速外側から三脚を建てて撮影にいそしむ。観光客はいるにはいるが困るほどの数ではな い。外側は、じっと目を凝らし、一つ一つの彫刻を何か、誰かを識別する。ヨセフ、マリア、イエス、三人の博士、ロバ、天使などなど。ガウディが作った、聖 家族とロバやラッパを吹く羽のない天使はさすがに味わいが深い。それから「誕生の門」は日本人の彫刻家外尾悦郎氏が完成させたものだが、ハープを弾く天使 像、ファゴット、シター、バイオリン、タンバリンなどを奏でる天使像が浮き出ている。
外もそうだが内側にも大きなクレーンや工事用品が所狭しとあり、通路も限られていて、工事現場そのものである。ヘルメットをかぶった職人さんたちが右往左往している。しかし、柱や天井やステンドグラスの大きさと見事なことはこの上ない。
狭い通路を上へ上へと上っていく。階段を60m上がるのだ。人は擦れ違えない。窓から外を見ると、塔が見えたり、フルーツの飾り窓が見えたり、青空や向こ うのビルや下の公園やクレーン車やコンクリートバケツの昇降機や上を見上げる観光客の群れが眺められた。狭い階段を上から見ると、まるで巻き貝の内側のよ うだ。1882年に起工式があってから早くも125年、まだ終わらない工事が続けられていることは驚異以外の何者でもない。

カサ・ミラ=ラ・ペドレラ(採石場の意味)  グラシア通り 
ガウディが最期に作った民間の集合住宅。1906年着手。
1912年完成。

建物全体が波を表すファサードのカーブは圧倒的な形。波が満ち引き、動いているように見える。ファサードの壁には真っ正面に聖母マリアのシンボルのバラ が、彫られている。各バルコニーの鉄の手摺柵も美しい。仮面や鳩や海やカタルーニャなど抽象的なデザイン。そしてもちろん、屋上の各種エントツ。換気孔で もある。いろいろなマスクの形。
内部の撮影開始。といっても、暗くて大変だ。観光客は大混雑ではない。住宅への階段は美しい壁の絵に彩られている。上に上がっていくと、住居があるが、これはまあ、どこにでも見られる18.9世紀の家具調度で、むしろアールヌーボーかネオ・クラシックだ。
なんと言っても圧巻は屋根裏だ。薄いレンガを貼り合わせてできた天井と梁なんて信じられない。それも放射状にアーチが張られ、12のアーチが合流したところはシュロの葉に見える。270のアーチが800m2の面積に作られている。ここにはずっといたい気がした。
そして屋上へ。バルセロナの青空と輝く太陽の下、幾つもの塔が光っている。中には、シャンパンの瓶を割って塔柱に飾ったものもある。

コローニア・グエル教会(crypt 地下聖堂)  
1908−1914
郊外サンタ・コロマに、グエルの繊維工場があり、そこに教会を建てることをガウディに注文した。ガウディは設計図を描いた。が、地下の礼拝堂を建てると教会は未完のままガウディは手を引く。やがて村人たちが礼拝堂として使い始めた。
その礼拝堂といえば、その荘厳さと異形の妙は例えようがない。岩石のままのような石の柱が何本も立ち、途中で煉瓦の円柱になっている。その上に放射状の梁 が張り巡らされている。天井も梁も薄いレンガで、円形が描かれ、後に作ったカサ・ミラにも使用された。ずらりと並ぶ椅子も、丸みが着いた、人間工学に基づ いたガウディの設計になる。そしてなんと言っても、目を見張るのは、壁の周囲にあるステンドグラスの色彩の美しさと単純な花びらの形だ。全部で8枚はあっ ただろうか。大きな二つは花びらの2枚が、鎖で内側に開くのである。そして太陽の動きに応じて、グラスに陽があたり、神がそこに現れたかのように燃えて輝 くのだ。ステンドグラスの外側には鉄の網模様の防具が付いているが、これも美しいパターンで、グラスとマッチしている。外側には壁に、グラスを縁取るよう にモザイクで飾られている。また入り口のドアの上にも、モザイクでオーナメントが飾られている。
内部のあちらこちらに、マリア像、イエス像、聖家族像が立ち、信仰の強さを表している。まったく、なんというユニークな教会だろう。


グエル公園
朝9時半に着いたので、まだほんの数人の観光客、それも日本人らしき、だけだったので、撮影しやすかった。入り口にシュロの葉を模した鉄の門があるが、こ れはカサ・ビセンスから移したものだという。入るとすぐに、目の前に壮大な眺めが広がっている。両側にガウディの建物、門番小屋がある。階段を上がると色 彩豊かなモザイクの竜の彫刻。さあここからいよいよあの公園、大広場のタイルのベンチや、市場と呼ばれる場所の柱や月と太陽の天井や、石で作られた天井と 柱の道や、洗濯女のポーチや高架道が待っている。何しろ広い。どんどん歩く。ポーチの優雅な放射状の柱の光と影、並んだシュロの鉢。

余談です
日本でも、18日のバルセロナの暴動は報道されたようですが、
私たちも、ホテルの4階の部屋のバルコニーから見ていました。ポリスカーが20数台も来て、大通りのランブラスに入らないように封鎖していました。怒号が飛び交い、パンパンと音がしてヒヤリとしましたが、白い横断幕を掲げたデモ隊でした。
2,30分後には大混乱もなく、別のひろばへ移動していきました。何処の国でも民衆は怒り狂っています。