2008 



11月5日。ソローヒルの庭の紫式部(こむら さき)の実が、つやつやとアメジストのように光り輝いていた。むらさきしきぶはこの日の誕生花で、花言葉は゛聡明゛。
源氏物語を 書いた紫式部にはぴったりだ。この日は私の誕生日でもあった。
けれども素 晴らしいことに、2008年の今年のこの日、アメリカにようやく、「カラード」の新大統領が誕生した日でもある(時差があるのでアメリカでは4日)。なん てすばらしいことだろう。私とエドは、アメリカからのライブ番組をずっと見ていた。もちろんエドも、国外滞在者として、私を証人にして投票をした。これか らは11月5日を平等への「変革の誕生日」としよう。
オバマの勝 利宣言は涙無しには聞けなかった(英語で)。「これこそが、若者や老人、金持ちや貧乏人、民主党員や共和党員、黒人、白人、ヒスパニック、アジア人、先住 民、ゲイやストレート、障害者や健常者によって放たれた答えなのだIts the answer。私たちアメリカ人は単なる個人の寄せ集めではなく、また赤と青の星の寄せ集めではなかったというメッセージを世界に向けて送ったのである。 私たちはこれからも常に、ひとつのアメリカなのである」
アメリカを 世界に置き換えれば、それはジョン・レノンの願いでもあった。彼の「イマジン」の歌詞とぴったりと合う。レノンの音楽に「リメンバー」がある。ここでは 「11月5日を忘れるな」と歌っている。これは単に、「リメンバー・ノベンバー」と韻を踏んだのだと言われているが、なぜ5日か。それはこの日はイギリス の「ガイ・フォークス・デー」だからではないだろうか。1605年のこの日、カトリック教徒が英国議院を爆破しようとした火薬陰謀事件だ。その首謀者がガ イ・フォークス。今は彼の人形を作り、市中を引きずり回すお祭りになっている。
宗教の違い や暴力での争いや差別を憎んだレノン、キング牧師、ソロー、ガンジーその他大勢の平和を愛する人々がいたし、今もいる。オバマはその今日の代表であり、先 導者となるだろう。

10月
栗や柿が鈴なり、むかごもたくさん落ちる。落 花生やサツマイモもそのうち採れる。栗を拾い、皮をむき、調理をして口に入るまで、ずいぶん手間と時間がかかる。それでもこうして食べものが身の回りで調 達出来るのは幸運だ。
世界経済が破綻している。これからどうやって生きていくのか、不安な人々もたくさんいるに違いない。
私もその一人だが、サバイバルの方法を身につけているので、のんきである。焦らない。自然のリズムに乗っ取って
、悠然として生 きていこう。



© Edward Levinson

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