4月

©エドワード・レビンソン

野菜花壇から
野菜花 壇では、ブロッコリーの蕾はそろそろ終わり。花が咲き始めた。満開の
菜の花ももうそろそろ刈り取る頃だ。 秋に蒔いておいたエンドウ豆の花が咲いていて、一 足早く、蝶々が舞っているよう。すぐにさやになるでしょう。レタスはだんだん葉の茂りを厚くしている。ぱりぱりと良い音を立てる。ニンニクは葉が長いので 1本抜いてみたけれど、まだ、球にはなっていない。にんじんは終わり、タマネギがそろそろ食べられそう。大根もまだがんばっていてくれる。

野の恵

©エドワード・レビンソン


さやさやと音を立てて、春風に震えているのはノビルの長い草。その長さ30cm以上。だから根 も深い。わが家の土は粘土だから、掘るのに一苦労。私には力が足らないので、掘るのはいつも夫の役目。夫はノビルが大好きで、ガリガリとかじる。
ノビルの 食べ方は、地方でいろいろとあるらしい。先日よそで頂いたのは、全体 を茹でて長いのを結び、甘い酢味噌を添えたもの。とても美しい。
わが家の食べ方はフランス人のように、生で。好きな味付け で。
何もつけずにそのまま。塩を振って。マヨネーズで、酢味噌 で。
どの食べ方でも、しゃきっとした歯応えと、独特の辛味と、 香りが一年に一度の野生を味わわせてくれる。
その他に今の季節は、ヨモギのテンプラ。三つ葉のお浸し。芹のスー プ。取り立て
しいたけのフライ。


©エドワード・レビンソン

またもや季節の果物で、イチゴのタルトを作りました。今回はソローヒルにお越しいただいた写真家の松本路子さんたちのために。お二人 は新刊を出したばかり。「魂の布」。詳しくは松本さんのブログへどうぞ。
http://blog.livedoor.jp/matsumotomichiko/
タルトの写真が載っています。

中学生や高校生の皆さんへ。
ジュニア版ベジタリアンの文化誌 no.3


 あなたたちが大人になるのは二十一世紀の半ば、もうすぐ そこです。その頃この地球上には、人口が百億、今の倍近くにもなるという予測があります。その時に、だれも飢えないですむほどの食糧があるといいのだけれ ど。
 もし天候が悪くて植物が育たないと、穀物や野菜がとれ ず、飢饉になる可能性もあるし。現在は地球温暖化が問題になっているよね。いろいろなことから、穀物の供給量は以前より3割くらい減っているのだって。そ んな場合に肉食をすることは問題だよね。肉食は人間が食べる穀物を、肉にする動物にやることでできるのだから。
 これから心がけるといいのは、自分で野菜や穀物を作るこ と。自分の口は自分で養うという態度で生活していると、飢饉が起きたとき役立つかも知れません。そのためばかりでなく、植物のことを知り、好きになり、そ して美味しく味わうためにも、自家栽培をするベジタリアンは大勢います。 
『戦争と平和』を書いたトルストイはもともと広大な農地を 持つ貴族だったのだけれど、自分で鋤や鍬を手にしてお百姓と一緒になって野良仕事に励みました。そして「農業生活は……人間的な唯一の生活である」と考え て、大いに農業を楽しみました。狩猟好きだったトルストイが、動物を殺すことの非をさとってベジタリアンになったのは五十九歳の時でした。その食事は、黒 パン、キャベツのスープ、マカロニ、そばのお粥、馬の乳、チーズなどのふつうの食事でした。トルストイは戦争に反対する平和主義者でしたが、世界中の人々 に影響を与え、ベジタリアンになる人も大勢いました。
 湖のほとりに小さな小屋を建て、一人静かに暮らし、畑を 作って質素な食事をしていた若い文学者、それはヘンリー・ソローです。彼は砂っぽい土地を家畜の助けを借りずに耕し、肥料はやらず、蒔いた種が鳥や動物に 食べられてしまっても気にかけず、トウモロコシやジャガ芋や豆類などを作りました。高価なバターや牛乳や肉は食べず、ライ麦やトウモロコシの粉で自分で焼 いたパン、お米、そしてきいちごやすぐりやぶどうや、野生のりんごなどの季節の果物が食事でした。
 ソローは、肉は不潔だから本能的に嫌いなのだそうです。 それはきっと、詩人でもある彼のイメージに合わないのでしょうね。その生活は『ウォールデンーー森の生活』という本に詳しく書かれていますが、肉を食べる ことについて、「人間が肉食動物だというのは、ひとつの恥辱ではないだろうか?……動物を食べるのをやめることは、人類のゆっくりした進歩のなかに存在す る運命のひとつだ」と言っています。
 ソローの仲良しは『若草物語』を書いたルイザ・メイ・オ ルコット。父親が厳しいベジタリアンだったので、彼女も肉食をしませんでした。小さい頃家族で農場に住み、ソローと同じように穀物を栽培したり、森の中で 木の実を摘んだりして食べていました。
 現代の人なら、元ビートルズのポール・マッカートニーが います。彼は自分の農場を持っています。そこで羊や鶏や馬やたくさんの動物と一緒に暮らし、野菜を栽培して、ベジタリアンの食生活をしています。健康に良 く、環境に優しく、動物の命を奪うことなく、飢えた人々も救える、こんなことをベジタリアンである目標にして、愛にあふれた音楽を作り、歌い続けていま す。
 自分で植物を栽培すると、その喜びや大変さが良く分か り、よけいに野菜や穀物の有り難さを感じるので、それだけよりおいしくなるのです。それはまた、命を自分で育て、そして知ることでもあるのです。すると、 どんな命でも、大切にしよう、という気持ちが湧いてくるのです。さあ、ベランダででもいいから、何か野菜を育ててみましょうよ。
 
大人の方は「ベジタリアンの文化誌」や「ベジタリア ンの世界」、「ベジタリアン宮沢賢治」を読んで下さい。本のページへどうぞ。
本のページへ。

©エドワード・レビンソン


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